コンデンスリッチ豊胸(CRF)とは?――脂肪の精製方法による違いを論文ベースで解説
脂肪豊胸では、採取した脂肪をそのまま注入するわけではありません。
不純物(麻酔液・血液・壊れた脂肪細胞など)を除去し、
脂肪を「精製」してから注入することが、定着率や安全性に大きく関わります。
脂肪の精製方法には、主に以下の4種類があります。
脂肪の精製方法は大きく4種類に分かれる
① 単純分離法
採取した脂肪をそのままビーカーに開け、脂肪と麻酔液を自然分離させる方法です。
【特徴】
・麻酔液はある程度除去できますが、不純物の除去は限定的
・精製後の脂肪は水分が多く、かなり水っぽいものになる
・仮に300cc注入量しても、実際の定着率はかなり低い。
② ピュアグラフトフィルター
専用フィルターを用いて、麻酔液や不純物などを取り除いていく方法です。
【特徴】
・単純分離より不純物除去は優れている
・ただし遠心分離は行わないため、脂肪は比較的水分が多い状態
・近年はピュアグラフト以外にも複数のフィルターが登場しているが、単純除去と違い血球成分などが取り除けるのが特徴。
③ 遠心分離法
遠心分離にかけて、余分な液体・麻酔液・血液・油滴などを分離しスクーリンングしていく方法です。
【特徴】
・単純分離・フィルター法より高い精製度
・不純物を効率よく除去でき、脂肪の濃度が高まる
④コンデンスリッチシリンジ(CRF)による遠心分離
コンデンスリッチ豊胸(CRF)では、コンデンスリッチシリンジという脂肪専用の密閉型シリンジを用いて遠心分離を行います。
【特徴】
・上部にウェイトフィルターがあり、排泄オイルを効率よく分離できる
・脂肪が空気に触れない閉鎖環境で処理・注入が可能
・脂肪の濃縮度が高いとされている
このことから、「脂肪の質が高い」と表現されることが多い方法です。
では、どの精製方法が一番良いのか?
水分が多い脂肪を注入すると、単位ccあたりの実質的な脂肪量が少なくなることは明らかです。
そのため、
【 ①単純分離・②フィルター法より】
【 ③遠心分離・④CRFの方が優れている】と考えるのが一般的です。
論文的に見たCRFの位置づけ
過度な遠心分離は脂肪由来幹細胞の減少につながる
一方で、遠心分離の条件(回転数・時間)が非常に重要です。
論文では「過度な遠心分離は脂肪由来幹細胞の減少につながる」という報告もあり、
むやみやたらに過剰な遠心分離は逆に定着率を下げてしまうのです。
なので、Dr選びをする際は何gでどのくらい脂肪を遠心分離しているかどうかを聞くのも大事なポイントです。
CRFが絶対的に優れている」と結論づける強いエビデンスはない。
現時点では、通常の脂肪豊胸とCRFを明確に比較したRCT(ランダム化比較試験)は存在していません。
そのため、「CRFが絶対的に優れている」と結論づける強いエビデンスはありません。
また当院では、以下の理由から 全ての患者様に一律でCRFを推奨しているわけではありません。
【当院が慎重に判断する理由】
・通常の遠心分離でも十分に不純物は除去できるCRFは精製に時間がかかり、その間に脂肪の質が低下する懸念がある。(脂肪は「採取したらできるだけ早く注入」が 鉄則)
・一般的にはCRFが一番優れている精製方法と思いがちなのですが、実は普通の脂肪豊胸とCRFではっきりしたRCT (ランダム化比較試験)というものは存在しません。
そのため当院ではコンデンスリッチを全患者に勧めてはいません。
それでもCRFが優れている点
一方で、CRFには以下のメリットがあります。
・脂肪の濃縮度が高い
・操作過程が閉鎖環境のため、感染リスクが低い
・精製のばらつきが少なく、作業者の技量に依存しにくい((分離具合は作業者の腕に依存する)
これらの点から、 条件が合い、金銭的な余裕がある場合にはCRFを選択する価値はあると考えています。
(以上から、明確な比較をしたエビデンスがあるわけではないですが、金銭的余裕がある場合にはCRFをお勧めしております。)
まとめ|大切なのは「方法」より「医師の判断」
脂肪豊胸の仕上がりや定着率は、
【精製方法】
【遠心分離の条件】
【注入技術】
【患者様の脂肪の質】
など、複数の要素が組み合わさって決まります。
精製方法だけに注目するのではなく、
「どの方法を、どの条件で使っているのか」
「その判断を医師が論理的に説明できるか」
これこそが、クリニック選びで最も重要なポイントです。
【参考文献】
・Influences of centrifugation on cells and tissues in liposuction aspirates
・Effect of centrifugation and washing on adipose graft viability
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