脂肪豊胸は「金ドブ」と言われることがあります。
これは半分正しく、半分間違っています。

正確には、**脂肪豊胸が“金ドブになってしまう方もいる”**というのが事実です。

その差を分けるのが、もともとの体質＝脂肪豊胸のポテンシャルです。

この記事では、脂肪豊胸の結果を大きく左右するポテンシャルについて、
わかりやすく解説していきます。

脂肪豊胸は、ご自身の脂肪を太ももやお腹などから吸引し、胸に注入する治療です。
しかし、脂肪はたくさん入れれば入れるほど大きくなるわけではありません。

無理に入れすぎると、生着しなかった脂肪が
・しこり
・石灰化
・脂肪壊死
などの原因になることがあります。

そのため、脂肪豊胸で最も重要なのは
「どれだけ入れたか」ではなく「どれだけ生着したか」です。

一般的に脂肪の生着率は約30〜70％。
この差は、技術だけでなく体質（ポテンシャル）によって生まれます。

脂肪豊胸のポテンシャルは、主に以下の4つの要素に分けられます。

①バージスラインがあるか

②授乳歴・施術歴があるか

③皮膚の柔らかさ

④乳腺の形

この4つのポイントに絞って、詳しく見ていきましょう。

バージスライン（胸の土台）がはっきりしている方ほど、
乳腺や脂肪が多く、血流も豊富なため、脂肪が定着しやすい傾向があります。

一方、バージスラインがほとんどないタイプの方は、
1回目でバージスラインを作り、2回目で高さを出す
というように、複数回に分けた治療が必要になることが一般的です。

授乳歴がある方、または過去にシリコンバッグ豊胸などの施術歴がある方は、
一度皮膚が伸びているため、脂肪が定着するスペースがすでに確保されている状態です。

そのため、初回から比較的しっかりと変化が出やすい傾向があります。

皮膚の柔らかさは、皮膚の伸びやすさ＝脂肪が入る余裕に直結します。

皮膚の柔らかさ・薄さは、
・血管の透け
・肋骨の浮き
などから判断します。

「肋骨が浮いているのが恥ずかしい」とおっしゃる方もいますが、
実はこれは脂肪豊胸において重要なポテンシャル要素のひとつです。

乳腺は必ずしも全員がきれいな丸型とは限らず、
楕円型・洋梨型・離れ型の方もいらっしゃいます。

脂肪は乳腺のある部分に定着しやすいため、
乳腺の形が特殊な場合、
1回の脂肪豊胸で形を大きく変えるのは難しいことがあります。

そのため、形のコンプレックスが強い方ほど、
ポテンシャルの見極めが非常に重要になります。

ここからは、実際の症例をポテンシャル別に解説していきます。

予算的に1回のみ希望。脂肪では難しいことを説明し、シリコンバッグに抵抗がなかったためバッグ豊胸を選択。

→ 脂肪豊胸を強く希望。1回の予算が限られていたため、2回に分けて施術。
形のコンプレックスに配慮しデザイン重視。

→ ラウンドバスト希望だが、育児の都合で1回のみ可能。
　脂肪では限界があるため、シリコンバッグに変更。

→ 皮膚は硬いが土台と乳腺が良好。
　形はそのままにボリュームアップし、2カップアップ。

→ 伸び・定着ともに非常に良好。
　④よりもさらに変化が出やすいパターン。

→ すべての要素が揃った高ポテンシャル。
　ただし皮膚の余りが多く、1回の脂肪豊胸ではハリ感が足りないため、後日シリコンバッグを追加。

脂肪豊胸は、
適応が合えば自然で柔らかく、美しいバストを目指せる施術です。

しかし、ポテンシャルを無視して行うと
「思ったほど大きくならなかった」「金ドブに感じてしまった」
という結果になることもあります。

ポテンシャルを知っておくことで、
・必要な回数
・最適な方法（脂肪／バッグ／ハイブリッド）
・現実的なゴール
が、理解しやすくなります。

当院では、無理に脂肪豊胸をおすすめすることはありません。
脂肪豊胸・シリコンバッグ・ハイブリッド豊胸を含め、
一人ひとりにとって最も納得できる選択をご提案しています。

わからないこと、不安なことは
カウンセリングで遠慮なくご相談ください。